EC-CUBE4への移行を検討するECサイトが増えた
旧バージョンのEC-CUBEを利用しているECサイト様から、EC-CUBE4へのバージョンアップのご相談を頂きます。
2020年以降、相談件数が増えています。
EC-CUBE4は、機能拡張性に優れており、またセキュリティ強化もされています。
その為、旧バージョンをご利用のECサイト様が積極的にバージョンアップを検討されているようです。
特に、EC-CUBE2を利用しているECサイト様は構築してから5〜10年前が経過しています。
デザインもシステムも古くなっている為、バージョンアップを積極的に検討されています。
EC-CUBEの各バージョンの概要
現在(2023/8/30時点)、EC-CUBEは「2」と「3」と「4」の3つのバージョンが存在しています。
EC-CUBEはバージョンごとに互換性がありません。
各バージョンの特徴を知ることで、バージョンアップへの認識も深まります。
以下に、各バージョンの特徴を記載いたしますので、自社のバージョンの特徴をよく理解してください。
尚、EC-CUBEのバージョンを確認する方法は、下記コラムで説明しています。
EC-CUBE2
EC-CUBE2は最も多くのECサイトで利用されているバージョンです。
2.4 / 2.11 / 2.12 /2.13と分けることができます。
2.4と2.11、2.12はイーシーキューブ社のサポートが終了しています。
2.13はサポートが継続されていますが、2.13の動作要件であるPHP5のサポートが切れています。
サポート切れはセキュリティ問題に繋がりますので、注意が必要です。
EC-CUBE2.13はサポートが継続中とは言え、今後プラグインやモジュールがアップデートされることはありません。
また、決済サービスは徐々にEC-CUBE2へのサービスを停止する傾向にあります。
これらを考慮すると、EC-CUBE2のECサイトは4へのバージョンアップを積極的に検討すべきです。
EC-CUBE3
EC-CUBE3はプラグイン機能を本格的に採用したシステムです。
同じオープンソースのCMS「WordPress」のように、プラグインで容易に機能拡張ができるEC-CUBEを目指しました。
2のシステムはまったく引き継がず新しく設計・開発されましたが、設計時の不具合も多かったようでそれほど普及していません。
イーシーキューブ社がサポートを継続していますが、3のプラグインやモジュールがアップデートは期待できません。
2、3、4を比較すると、3が一番普及していないバージョンです。
また、3に対応できる制作会社も少ないです。
これらを考慮すると、EC-CUBE3のECサイトも4へのバージョンアップを前向きに検討した方がよいかと思います。
EC-CUBE4
EC-CUBE3の失敗を教訓にし新たに開発されたのが4です。
プラグインで容易に機能を拡張することが可能ですし、API機能で他システムと連携し易くなっています。
また、PHPフレームワークSymfonyが使われており、カスタマイズ性も優れています。
かつ、セキュリティの強化がされています。
今までのバージョンの中で、4が一番オススメです。
EC-CUBE4へバージョンアップするメリット
既にEC-CUBE4がオススメのシステムであることはご理解頂けたかと思いますが、旧バージョンからEC-CUBE4へバージョンアップするメリットをご説明します。
プラグインが充実している
EC-CUBE4はプラグインが充実しています。
プラグインには有料と無料があり、無料プラグインだけでも小規模レベルのECサイトなら構築することが可能ですし、有料プラグインを活用すれば、高機能なECサイトを作ることができます。
カスタマイズ性に優れている
EC-CUBE4は最もカスタマイズ性に優れています。
機能カスタマイズが容易であり、自由度が高い為に高度なカスタマイズも可能です。
プラグインでは実現できない機能はカスタマイズ(システム改修)することで実装できます。
また、APIを利用すれば外部システムとの連携も容易です。
大規模ECサイトの場合、外部システムや外部サービスとの連携は欠かせません。
EC事業の成長に伴いECシステムを拡張することも、EC-CUBEであれば問題ありません。
セキュリティ対策が万全
個人情報漏洩やクレジットカード番号流出などのセキュリティ被害が後を絶ちません。
EC-CUBE4はセキュリティを強化したシステムであり、セキュリティに関する情報も公開、かつ脆弱性が発見された場合は速やかにセキュリティパッチがリリースされます。
EC-CUBE4構築後は脆弱性診断サービスを定期的(年に1回)に受けることで、更にシステムを安全な状態に保てます。
レスポンシブWebデザインでGoogleに評価され易い
EC-CUBE4は標準でレスポンシブWebデザイン(RWD)が採用されています。
従来であればパソコン用とスマホ用でそれぞれデザインテンプレートを管理していましたが、RWDは1つのテンプレートファイルでデザインを管理することができ、メンテナンス性に優れスピーディーにデザインを変更することができます。
Googleがモバイルフレンドリーを評価しており、スマホで見易いサイトは検索結果順位が上がる傾向にあります。
そして、モバイルフレンドリーの対応策としてGoogleはRWDを推奨しています。
つまり、RWDのEC-CUBE4でECサイトを構築すれば、Googleに評価され易いサイトとなります。
購入フローが短くからサイト離脱を防ぎ注文率を上げる
EC-CUBE2の購入フローはページ数が多かったですが、4の購入フローは3ステップで完結了します。
購入フローが短いことでサイト離脱を防ぐことができ、注文率が上がります。
EC-CUBE4へバージョンアップする際のデメリット
以上がEC-CUBE4移行するメリットですが、もちろんデメリットもあります。
デメリットも理解した上で、EC-CUBE4へのバージョンアップをご検討ください。
各バージョンのEC-CUBEは互換性がない為、ほぼ新規構築となる
EC-CUBE4へのバージョンアップは、MacやiPhoneのようにボタンをクリックすれば自動でアップデートされる仕組みではありません。
2、3、4のEC-CUBEはそれぞれシステム的に互換性がない為、移行の際はゼロからECサイトを構築する必要があります。
また、既存EC-CUBEをカスタマイズしている場合、4で構築する際に再度カスタマイズしなければいけません。
尚、プラグインがあればプラグインで代用可能です。
利用中のプラグインが4にない
既存EC-CUBEで利用しているプラグインが4にない恐れがあります。
その場合、独自カスタマイズするか、機能を諦める必要があります。
決済モジュールが4に対応していない
現在、利用している決済会社がEC-CUBE4に対応していない可能性があります。
対応していなければ、独自に決済モジュールを開発するか、他社へ乗り換える必要があります。
決済モジュールの開発には多大なコストが掛かりますので、他の決済会社へ乗り替えるのが現実的です。
以上のように、EC-CUBE4へのバージョンアップのデメリットは、コストが掛かることです。
予算を確保するか、もしくはバージョンアップを機に機能の見直しをするのも良いかもしれません。
EC-CUBE4への移行リニューアル手順
最後に、EC-CUBE4へのリニューアル手順をご説明します。
企画・検討フェーズと実装・開発フェーズに分けます。
企画・検討フェーズ
- 現行EC-CUBEにインストールしているプラグインを調査・把握する
- 現行EC-CUBEに実施しているカスタマイズを調査・把握する
- EC-CUBE4にインストールするプラグインを検討する
- EC-CUBE4に実施するカスタマイズを検討する
- EC-CUBE4のデザインを検討する
- EC-CUBE4に移行するデータを検討する(商品・会員・受注・その他)
実装・開発フェーズ
- 新しいデザインを作成する
- EC-CUBE4が動作するサーバー環境を用意する
- EC-CUBE4をサーバーにインストール・基本設定を行う
- 新しいデザインをEC-CUBE4に適用する
- EC-CUBE4にプラグインをインストールする
- EC-CUBE4にカスタマイズを実施する
- クレジット決済モジュールをインストール・設定する
- 古いEC-CUBEの設定(支払い方法、配送方法、ポイント設定、メール設定、税率設定など)をEC-CUBE4に移行する
- 古いEC-CUBEの商品データ、注文データ、会員データをEC-CUBE4に移行する
- テストを行う
- サイト・オープン
サンクユーのバージョンアップ実績
前述の通り、当社にはバージョンアップのご相談を多く頂きます。
その為、すべてのバージョンで、EC-CUBE4バージョンアップ実績がございます。
EC-CUBEのバージョンアップをご検討のECサイト様は、お気軽にご相談ください。
投稿者プロフィール
- 関西大学卒業後、東証プライム上場企業ゼネコンにて人事総務業務に従事。
幼少よりモノ作りが好きだったこともあり、「モノを作る仕事がしたい」という思いからシステムベンダーへ転職。
システムベンダーでは、IBMオフコンAS400で金融、物流、販売管理、経理、人事総務などのシステムを開発。
台北に駐在し遠東國際商業銀行のシステム構築プロジェクトへの参画など貴重な経験を積む。
10年間で、プログラマ、SE、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーを務め、「システムの質は要件定義の質に比例する」と学ぶ。
その後、クレジット決済代行会社にヘッドハンティングされる。
決済システムの再構築、国内外の銀行システムとの接続、クライアントの会社サイト制作・ECサイト構築を行う。
一方、組織改革を任され、20名から60名へ会社規模を拡大させる。(退任時役職:常務取締役)
2008年クリエイティブチーム・サンクユーを立ち上げ、2010年に法人化し株式会社サンクユーを設立。
クライアントの業界、取扱商材、ターゲット顧客を理解・分析することで、結果が出るWEBサイトを制作することを得意とする。
また、ECサイト構築・運営への造詣も深く、NTTレゾナント株式会社が運営するgoo Search Solutionでコラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution
■趣味・好きなもの
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