この記事でわかること
EC-CUBEの受注CSVを商品別集計や基幹システムへの取り込みに使うときは、標準で出せる項目を確認し、必要な加工だけを追加することが大切です。この記事では、受注明細の出力、金額集計、配送情報、再取り込みの確認点を整理します。
EC-CUBE 4系の標準受注CSVは、受注明細ごとの出力を扱います。「受注CSV」という名称でも、1注文が必ず1行になるわけではありません。明細単位で出したいという理由だけで、すぐにカスタマイズが必要とは限りません。
一方、標準CSVに商品情報が含まれていても、そのまま倉庫や販売管理システムで使えるとは限りません。商品以外の行をどう扱うか、注文全体の金額を重複して集計しないか、相手側の商品コードと一致するかまで確認します。
本記事はEC-CUBE 4系を中心に説明します。バージョンや導入済みプラグイン、既存改修によって出力内容が異なるため、利用中のサイトから出したCSVで確認してください。
まず標準の受注CSVと出力項目設定を確認する
EC-CUBEには受注CSVと出荷CSVがあり、管理画面の「設定>店舗設定>CSV出力項目設定」で、用意されている項目の出力・非出力と並び順を調整できます。配送先や送り状作成に使う場合は、出荷CSVも比較対象になります。
公式マニュアルの受注CSVには、注文ID、注文番号、注文詳細ID、商品コード、価格、個数、明細区分などが掲載されています。最初に、複数商品を含む注文を出力し、どの情報が各行に入るかを確かめましょう。
- 管理画面の受注一覧で、確認する注文を検索します。
- 受注CSVをダウンロードし、列名・行数・明細区分を確認します。
- 必要な項目が出力対象に入っているか、CSV出力項目設定を確認します。
- 設定で対応できることと、行の抽出・計算・コード変換など別の処理が必要なことを分けます。
共通の出力設定を変える場合は、同じCSVを使っている担当者や連携処理への影響も確認します。列順だけを変更したつもりでも、取り込み先が列の位置で判定していると読み込みに影響する場合があります。
標準仕様の参照先:公式マニュアル「受注一覧」、公式マニュアル「CSV出力項目設定」。確認したマニュアルの表記は4.3.1-p1版です。
「受注明細」と「商品だけの一覧」を分ける
受注明細には、商品だけでなく送料・手数料・値引きなどが含まれる場合があります。そのため、CSVの行数をそのまま販売商品数や注文件数として数えることはできません。
商品別の数量を集計したい場合は、明細区分を確認して商品の行を対象にします。送料や手数料の行を除外するときも、会計・請求に必要な金額まで失わないよう、用途ごとの扱いを決めます。
| CSVを使う目的 | 主に必要な情報 | 確認すること |
|---|---|---|
| 商品別の受注数量を集計する | 商品コード、規格、個数、受注日、対応状況 | 商品行だけを対象にするか。取消・返品を含めるか |
| 倉庫へ出荷指示を渡す | 注文・明細の識別情報、配送先、商品コード、出荷対象数量 | 注文数量と今回出荷する数量が一致するか |
| 販売管理・基幹システムへ取り込む | 注文・明細の識別情報、得意先コード、商品コード、単価、数量、税の情報 | コード変換、送料・値引きの扱い、取り込み済み判定 |
この表は出力設計の確認例です。すべての項目が標準の出力設定に用意されているという意味ではありません。取引先独自のコードや出荷対象数量などは、保存場所や管理方法から確認が必要です。
注文合計を明細行ごとに足すと、金額が重複する
受注明細CSVでは、同じ注文の情報が複数行に繰り返し表示されることがあります。商品別の金額と注文全体の合計を混同すると、売上などの集計値が実際より大きくなります。
次は重複集計を説明するための簡略例です。標準CSVの列構成や実際の出力を再現したものではなく、税・送料・値引きは省略しています。
| 注文番号 | 商品 | 単価 | 数量 | 商品明細額 | 注文合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| A100 | 商品A | 1,000円 | 2 | 2,000円 | 5,000円 |
| A100 | 商品B | 3,000円 | 1 | 3,000円 | 5,000円 |
この例で注文合計の列を単純に合計すると10,000円になってしまいます。商品明細額なら2,000円+3,000円=5,000円です。注文合計を集計するときは、注文を識別するキーごとに1回だけ扱います。
実際には、税込・税抜、税率、端数処理、注文全体への値引き、送料や決済手数料も関係します。商品別に金額を配分する必要がある場合は、そのルールと端数の調整先を決め、管理画面の金額と照合します。CSVの出力だけで、会計上の売上計上基準が決まるわけではありません。
基幹連携に使うCSVで決めておきたいこと
注文・明細・配送を区別できるキーを残す
注文番号だけでは、その注文内のどの商品行かを区別できません。同じ商品が複数行ある場合や、配送先が分かれる場合も考え、注文ID・注文詳細ID・配送IDなど、用途に合った識別情報を検討します。
画面に表示する注文番号と、外部システムで照合するキーを同じものと決めつけず、既存の連携で何を使っているか確認します。編集や再出力の後も、取り込み先で同じ対象を識別できる設計が必要です。
商品コード・得意先コードとファイル形式を合わせる
ECの商品コードと基幹側の品番が異なる場合は、対応表や変換処理を用意します。サイズ・色などの規格、セット商品、ケースと単品の数量単位も確認してください。コードを変換できない行を、そのまま取り込まず確認対象にする運用も必要です。
列名・列順に加え、文字コード、日付形式、空欄、改行やカンマを含む値の扱いを、取り込み先の仕様に合わせます。Excelで開く際に商品コードの先頭ゼロが落ちたり、長い番号が変わったりしないよう、文字列として扱う項目も決めます。
注文数量と出荷数量を混同しない
例えば10個の注文を6個と4個に分けて納品する場合、注文数量10個を毎回出力すると二重の出荷指示になりかねません。今回の出荷対象・出荷済み・残数をどこで管理し、どの数量を渡すかを決めます。
標準の配送情報があることと、必要な分納管理がすべてできることは別です。CSVだけを変更して対応できるか、受注・出荷管理側の改修も必要かを確認します。
再出力・注文変更・取消を取り込み先へどう伝えるか
同じ期間のCSVを再度取り込んでも、注文や明細が重複登録されないようにします。取り込み済みのキーで判定する方法、更新として扱う方法などを、相手側の機能に合わせて決めます。
また、CSVをダウンロードできたことと、基幹システムへの取り込みが成功したことは別です。成功・失敗の記録、失敗行の再処理、取り込み後に変更された注文の扱いまで整理します。取消済み注文を単に出力対象から外すだけでは、すでに取り込んだ注文の取消は伝わりません。
連携全体の設計は、ECと基幹システムの連携設計でも解説しています。
設定変更・変換処理・カスタマイズをどう選ぶか
| 方法 | 検討する場面 | 確認する範囲 |
|---|---|---|
| 標準の出力項目設定 | 既存項目の選択と列順の変更で使える | 必要列があるか、他の担当者・連携への影響 |
| 出力後の変換処理 | CSVの抽出・列変換・コード変換を定型化できる | 変換ルール、エラーの検知、担当者交代後の保守 |
| プラグイン | 必要な出力形式に対応する既製品がある | 対応バージョン、明細や配送の扱い、既存改修との併用 |
| 個別カスタマイズ | 独自項目、用途別の出力、特別な抽出条件や連携管理が必要 | データの保存元、権限、履歴、大量出力、既存機能との整合 |
例えば、商品行だけを別システムへ渡すなら、標準CSVから抽出する方法と、商品行だけを出す専用機能を比べます。毎回手作業で加工する時間、処理件数、例外の多さ、将来の変更に誰が対応するかで判断します。
CSV出力の改善から既存サイトの改修まで、EC-CUBE構築・カスタマイズサービスでご相談いただけます。取引先別の条件や受注業務全体を見直す場合は、BtoB-EC構築サービスもご覧ください。
相談時は「現在のCSV」と「必要なCSV」を用意する
現在のCSVと、取り込み先が求めるCSVの見本があると、設定だけで対応できる部分と追加開発の範囲を比較しやすくなります。氏名・住所などの個人情報や取引情報は伏せ、列の構成と値の形式が分かるサンプルにしてください。
- EC-CUBEのバージョン、関連するプラグイン、既存のCSV改修
- 現在のCSVと、取り込み先の仕様書・サンプル
- 必要な列、対象行、商品・得意先コードの対応関係
- 出力頻度と件数、手作業で加工している内容
- 注文変更・取消・返品・分納・再取り込みの運用
- CSVを取得できる担当者と、取得後のファイルの保管・削除方法
費用は列数だけでなく、独自項目の取得、変換処理、出力履歴、連携先とのテスト範囲によって変わります。見積もり前に、どこまでをEC-CUBE側で処理するかを整理します。
公開前は、通常注文と例外の両方で照合する
複数商品・複数配送先・送料・手数料・値引き・異なる税率を含む注文で、出力行数と数量・金額を確認します。さらに、注文変更、取消、同じCSVの再取り込み、取り込みエラー後の再処理も確認してください。
出力ファイルが開けるだけでなく、実際の取り込み先で正しい注文・明細として扱えることまで確かめます。CSV出力の追加だけで、商品単位の対応状況管理や自動連携まで完成するわけではありません。
受注明細CSVのよくある質問
EC-CUBEで受注明細ごとのCSVは標準で出力できますか?
EC-CUBE 4系の標準受注CSVは受注明細ごとの出力を扱い、商品情報や明細区分などを確認できます。1注文が必ず1行になるわけではありません。利用中のバージョンや既存改修によって内容が異なるため、実際のCSVと出力項目設定を確認してください。
CSVには商品だけが1行ずつ出力されますか?
受注明細には送料・手数料・値引きなどが含まれる場合があるため、商品だけの一覧とは限りません。商品別集計では明細区分を確認し、対象にする行を決めます。同じ商品でも配送先や規格などの条件で行が分かれる場合があります。
CSVの金額を合計すると、管理画面の金額より大きくなるのはなぜですか?
同じ注文の合計金額が明細行ごとに繰り返され、それを足している可能性があります。注文全体の金額は注文ごとに1回だけ扱い、商品明細の金額とは分けて集計します。税・送料・手数料・値引きの扱いも照合してください。
出力項目と並び順は管理画面で変更できますか?
標準のCSV出力項目設定で、用意されている項目の出力・非出力や並び順を調整できます。独自項目の追加、商品行だけの抽出、コード変換などは、標準設定でできる範囲と分けて検討します。
基幹システムにそのまま取り込めますか?
出力内容が取り込み先の仕様と一致する場合は利用できます。列名・列順だけでなく、商品や得意先のコード、数量単位、文字コード、金額、取消や再取り込みの扱いまで確認する必要があります。
受注明細CSVのカスタマイズを相談する際に必要なものは何ですか?
EC-CUBEのバージョン、現在のCSV、必要なCSVの見本、取り込み先の仕様、出力頻度と件数、現在の加工手順をご用意ください。個人情報や取引情報を伏せたサンプルで、設定変更と追加開発の範囲を整理できます。
EC-CUBEの受注明細CSV・基幹連携をご相談ください
毎回のExcel加工、商品別の出力、連携先に合わせたCSV形式など、現在の作業から必要な改修を整理します。標準設定で対応できる部分と、変換処理・追加開発が必要な部分を確認します。
投稿者プロフィール
- サンクユーのEC-CUBE担当。15年以上にわたりEC-CUBE開発に従事し、2系・3系・4系すべてに精通。難易度の高いカスタマイズや、他社構築サイトの改修・再設計も多数対応しています。
Javaでの業務システム開発を起点に、PHP・Perl・フロントエンド・CMSまで横断的に対応。基幹システム連携や業務フローを踏まえた設計を得意とし、複雑な要件にも柔軟に対応可能です。
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