令和3年度電子商取引に関する市場調査
ECサイト構築・運営に携わる者にとって、EC市場の市況やトレンドを理解することは次の一手を考える上で大変重要です。
経済産業省は毎年ECに関する調査を行なっています。
調査報告書には貴重な情報に溢れているので毎年目を通すようにしています。
今年も経済産業省は令和3年度の電子商取引に関する市場調査を実施し、日本の電子商取引市場の実態等についての調査結果を公表しました。
電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました (METI/経済産業省)
調査報告書には以下の内容が記載されています。
- 日本のBtoC-ECの市場規模と動向
- 日本のCtoC-ECの市場実態
- 日本のBtoB-ECの市場規模推計
- 世界のEC市場の動向と日本・米国・中国3カ国間の越境EC市場規模
今回はBtoB-ECに関する報告をまとめたいと思います。
BtoBとはBusiness to Businessの略称で、企業と企業にモノやサービスを提供する企業間取引を指します。
BtoC-ECに関する報告をまとめたコラムは以下となります。
CtoC-ECに関する報告をまとめたコラムは以下となります。
日本のBtoB-EC市場の状況
2021年のBtoB-EC市場規模は、372兆7,073億円で前年比11.3%増加となった。
BtoB-EC市場規模の推計
2020年から2021年にかけて、BtoBの商取引市場は新型コロナウイルス感染症拡大の影響から回復した。
その結果としてBtoB-EC市場も増加したと考えられる。
大分類 | 中分類 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
EC市場規模(億円) | EC化率 | EC市場規模(億円) | EC化率 | EC市場規模(億円) | EC化率 | ||
建設 | 建設・不動産業 | 182,680 | 12.0% | 195,944 | 13.1% | 208,558 (前年比6.4%) | 14.3% |
製造 | 食品 | 266,010 | 59.3% | 264,672 | 63.3% | 271,027 (前年比2.4%) | 67.2% |
繊維・日用品・化学 | 333,700 | 40.7% | 322,621 | 45.7% | 376,509 (前年比16.7%) | 47.9% | |
鉄・非鉄金属 | 212,780 | 38.1% | 202,892 | 40.5% | 252,529 (前年比24.5%) | 42.7% | |
産業関連機器・精密機器 | 168,410 | 35.1% | 159,623 | 38.3% | 181,284 (前年比13.6%) | 40.7% | |
電気・情報関連機器 | 365,140 | 57.9% | 349,740 | 61.1% | 391,121 (前年比11.8%) | 64.2% | |
輸送用機械 | 523,620 | 67.0% | 480,963 | 70.7% | 542,170 (前年比12.7%) | 74.3% | |
情報通信 | 情報通信 | 145,820 | 19.9% | 151,685 | 21.0% | 166,975 (前年比10.1%) | 21.8% |
運輸 | 運輸 | 104,610 | 16.8% | 96,843 | 18.2 | 110,884 (前年比14.5%) | 19.2% |
卸売 | 卸売 | 1,026,450 | 28.8% | 920,944 | 30.6% | 1,006,059 (前年比9.2%) | 32.3% |
金融 | 金融 | 133,950 | 22.0% | 134,273 | 22.5 | 141,237 (前年比5.2%) | 23.2% |
サービス | 広告・物品賃貸 | 42,110 | 14.0% | 38,206 | 14.6% | 43,568 (前年比14.0%) | 15.5% |
その他 | 小売 | 19,89 | N/A | 25,983 | N/A | 29,875 (前年比15.0%) | N/A |
その他サービス業 | 4,450 | N/A | 4,717 | N/A | 5,277(前年比11.9%) | N/A | |
合計 | 3,529,620 | N/A | 3,349,106 | N/A | 3,727,073 (前年比11.3%) | N/A | |
合計(その他を除く) | 3,505,280 | 31.7% | 3,318,406 | 33.5% | 3,691,922 (前年比11.3%) | 35.6% |
EC市場規模の増減に関する考察
製造:食品
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により業務用食品市場規模等が縮小し、当カテゴリーの商取引市場規模が減少した。
そのような中、EC化の動きは加速し、EC化率も増加している。
全体の市場規模動向は新型コロナウイルス感染症拡大の収束状況に左右されるも、ECによる取引は今後広がっていくことが予想される。
製造:産業関連機器・精密機器
2020年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で売上高が減少したが、2021年は前年の反動で需要が回復し売上高が増加した。
情報通信
2021年の情報通信業の総売上高が増加した上、ECによる取引が拡大してる様子がうかがえる。
製造:鉄・非鉄金属
2021年の窯業・土石製品製造業、鉄鋼業、非鉄金属製造業、金属製品製造業の総売上高が増加した上、ECによる取引が拡大してる様子がうかがえる。
卸売
2021年の卸売業の総売上高が増加した上、ECによる取引が拡大してる様子がうかがえる。
卸売業においてはEDI標準化が進められていることが、EC化率が増加する要因になっているものと推察される。
国内BtoB-ECにかかるトピック
IP網化に伴うINSネットの廃止
2024年1月のINSネット(ディジタル通信モード)サービス終了に伴い、BtoB-ECにおいて同サービスをインフラとしているEDIの仕組みは更新を迫られている。
2025年1月までにIP網に移行することが予定されている。
適格請求書等保存方式(インボイス制度)の対応
2023年10月に、消費税の仕入税額控除の方式として、適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入が予定されている。
その為、課税事業者は導入に向けた対応を求められている。
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