要件定義とは?要件定義を失敗するとプロジェクトが失敗する。
システム開発(ウォーターフォール型)のフェーズは、以下のようになっています。
ECサイト構築はWEBサイト制作とシステム開発の両面を持っていますので、システム開発のフェーズが当てはまります。
WEBサイト制作ではすべての工程を行わないことが多いですが、おおよそ同じようなフローで進む為、WEBサイト制作でも十分流用できます。
- 要件定義
- 基本設計
- 詳細設計
- 開発
- テスト
- 本番公開
システム開発で最初に行う作業が要件定義ということになります。
要件定義とは?
要件定義とは、システムを開発する際にどのようなシステムにするか(要件)を決めることです。
とりあえず説明したら、こんな感じです。
分かったようで分からない感じですよね。。。
もう少し落とし込みましょう。
要件は「お客様の要望を元に」決定します。
また、要件とは「必要な条件」のことです。
つまり、要件定義とはお客様の要望をヒアリングし、要望を叶える為の必要条件(要件)をまとめることです。
これでやっと何となく分かったのではないでしょうか?
要件定義は潜在的な要望をヒアリングしなければいけない
要件定義には2つの作業があることが分かります。
- お客様の要望を正確にヒアリングすること
- 聞き出した要望を叶える為に要件をまとめること
お客様の要望を正確にヒアリングする
構築するシステム(サイト)の要件をまとめる為にはまずお客様の要望をヒアリングする必要があります。
ヒアリングが曖昧だと要望が曖昧になってしまい、要件の質が悪くなります。
質が悪い要件を元に作られたシステムやサイトは、本来の要望を満たすものではない為、お客様にとって低品質な納品物となってしまいます。
その為、要望を正確にヒアリングする必要があります。
聞き出した要望を叶える為に要件をまとめる
次にお客様からヒアリングした要望を叶える為の必要条件をまとめます。
要件を定義していく作業になります。
ただ単に要件をまとめるだけでなく、様々な方法を検討する必要がありますし、お客様に提案するコンサルティング的な作業も必要となります。
以上のように、要件定義はシステム開発にとって大変重要な作業です。
要件定義の品質が悪いと成果物であるシステムの品質も悪くなります。
システム開発で要件定義が一番重要な作業と言われる所以はこの為です。
要件を定義する項目を理解すれば要件定義の精度を高めることができる
ここからは要件定義項目を説明します。
ご紹介するのは基本的な項目ですので、プロジェクトによっては不要な項目もあれば、ここに記載がなくても要件定義する必要がある項目もあります。
お客様の要望を実現する為に必要な要件を定義することを忘れないでください。
目的
今回開発するシステムやサイトの目的を明確にします。
目的を明確にすることで、全ての行動基準が目的達成になりますので行動の精度が高くなります。
業務要件
システムに関連する業務の洗い出しを行います。
ECサイトであれば、
- 商品管理
- 入庫管理
- 在庫管理
- 配送管理
- 顧客管理
- 経理
- マーケティング
- 経営
などの業務が絡みますので、各業務がスムーズに遂行できるよう要件を定義します。
業務組織と役割分担
上述のようにECサイトには様々な関連業務があります。
各業務の担当部署や担当者が異なります。
各業務の担当部署や役割分担を明確にします。
業務フロー
業務フローを明確にしておきます。
商品の発注〜仕入れ商品の管理〜ECサイトへの商品登録〜注文処理〜入金手続き〜梱包処理〜発送処理〜注文完了と大まかなフローは理解できますが、実際には細かい分岐があり分岐ごとに作業が発生します。
業務フローを作成することで、気づかなかった作業を見つけることができますし、業務フローをスムーズに遂行する為のシステムづくりに役立ちます。
サイト要件
どのようなデザインにするか、どのようなページが必要かなどを決めます。
ある程度のデザインの方向性やサイトマップを作ることになります。
機能要件
ECシステムの管理画面の機能を洗い出します。
すでに作成した業務内容や業務フローが効率よく行われる為の機能を定めます。
セキュリティ要件
昨今、情報漏洩が耐えません。
100%情報漏洩を防ぐことは困難ですが、ある程度の対策を行うことで情報漏洩をほぼ防ぐことは可能です。
しっかりセキュリティ要件を決めておきましょう。
サーバ要件
- ECシステムが動作すること
- 想定アクセスに耐えられること
- セキュリティ要件を満たすこと
など、サーバに求められる要件をまとめます。
運用要件
ECサイトの運用業務、運用フローをまとめます。
前出の業務要件でまとめてしまっても問題ありません。
保守要件
ECサイトのオープン後はシステム保守が必要となります。
システム保守をどのように行うかをまとめます。
- 保守範囲(サーバ、デザイン、システムなど)
- 保守範囲ごとの担当(外部会社に依頼するのか、社内で行うのか)
- 保守作業内容
- 保守費用
予算
要件に応じた予算を検討します。
あらかじめ予算が決められている場合があります。
その場合は予算に応じて要件の取捨選択をする必要があります。
初期開発に実装できなかった要件は、ECサイトオープン後に実装することも検討します。
スケジュール
開発スケジュールを策定します。
大きなプロジェクトの場合、フェーズ分けをすることで早くオープンすることが可能です。
投稿者プロフィール
- 関西大学卒業後、東証プライム上場企業ゼネコンにて人事総務業務に従事。
幼少よりモノ作りが好きだったこともあり、「モノを作る仕事がしたい」という思いからシステムベンダーへ転職。
システムベンダーでは、IBMオフコンAS400で金融、物流、販売管理、経理、人事総務などのシステムを開発。
台北に駐在し遠東國際商業銀行のシステム構築プロジェクトへの参画など貴重な経験を積む。
10年間で、プログラマ、SE、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーを務め、「システムの質は要件定義の質に比例する」と学ぶ。
その後、クレジット決済代行会社にヘッドハンティングされる。
決済システムの再構築、国内外の銀行システムとの接続、クライアントの会社サイト制作・ECサイト構築を行う。
一方、組織改革を任され、20名から60名へ会社規模を拡大させる。(退任時役職:常務取締役)
2008年クリエイティブチーム・サンクユーを立ち上げ、2010年に法人化し株式会社サンクユーを設立。
クライアントの業界、取扱商材、ターゲット顧客を理解・分析することで、結果が出るWEBサイトを制作することを得意とする。
また、ECサイト構築・運営への造詣も深く、NTTレゾナント株式会社が運営するgoo Search Solutionでコラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution
■趣味・好きなもの
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